第46回数値解析シンポジウム (NAS2017)


おしらせ
2017/6/26: プログラムをこちらにて公開しました.
2017/5/31: 昨日5/30に参加申し込みをされた方に事前振込みの案内をいたしました.もし連絡を受け取られてない方は実行委員nas2017_committee あっと nas.sr3.t.u-tokyo.ac.jpまでご連絡願います.


第46回数値解析シンポジウム (NAS2017)は,2017年6月28日(水) ~ 6月30日(金)に,滋賀県グリーンパーク想い出の森にて開催されます.

このシンポジウムは,数値解析に関係する研究者が集い,合宿形式で討論を重ねる研究会です.日本応用数理学会と共催です.参加者は国内各地の大学教員およびその学生が中心で,例年60~80名ほどの参集があります.期間は3日間で,宿泊は2泊となります.なお今年はポスターセッション(各自持参のPCも併用可)を設けますのでご検討ください.

今年は森正武先生を偲ぶ講演を以下のように予定しています.

1.DE公式を回顧する講演 (大浦拓哉先生)
2.保存系を回顧する講演 (降籏大介先生)
3.数値解析シンポジウムからJSIAMまでの貢献を回顧する講演 (三井斌友先生)

さらに,羽田野直道先生(東京大学生産技術研究所)による以下の招待講演を予定しています.

題目:
量子力学に現れる非エルミート固有値問題

概要:
量子力学に登場する演算子の多くはエルミート演算子であるとされています。しかし
最近になって、非エルミート演算子の固有値問題も注目されるようになってきまし
た。本講演では、特に「量子開放系」で現れる非エルミート固有値問題について、物
理的背景などをゆっくりと説明しながら紹介します。時間が許せば、それ以外の非エ
ルミート固有値問題についても触れます。

量子開放系とは、注目する有限な物理系が一様で無限に大きい外界と結合している系
です。例えば「量子ドット」と呼ばれる系はナノメートルスケールの電気伝導体です
が、多くの場合、それが導線に接続しています。この場合、量子ドットが「注目する
系」で、導線が「外界」です。他の例としては最近、注目されている新しい元素「ニ
ホニウム」も、別の元素に中性子を入射すると生成され、短時間で中性子を放出して
崩壊します。この場合、原子核が「注目する系」で、中性子が飛び交う外の空間が
「外界」です。

量子開放系は無限系であるため、支配方程式(シュレーディンガー方程式)が一見し
たところエルミート固有値問題であっても、境界条件によっては非エルミート固有値
問題になります。その場合、無限に大きい外界を縮約することによって、顕わに有限
系の非エルミート固有値問題に帰着させることもできます。そのようにして得られる
複素固有値が「共鳴状態」という固有状態に相当します。量子ドットの電気伝導性や
「ニホニウム」の生成・崩壊は、「共鳴状態」を使って物理的に説明することができ
るのです。